糟屋中南部地域こども食堂ネットワーク会議が2月19日、糟屋郡篠栗町のオアシス篠栗で開かれました。宇美、篠栗、志免、須恵、久山、粕屋の6町からこども食堂の運営7団体と、県や各町行政、社会福祉協議会職員ら約40人が参加しました。6町での取り組みのほか、課題などについて率直に意見交換。こども食堂の活動が地域のつながりを深め合っている様子も確認しました。
事例報告では、NPO法人こころん(篠栗町)が運営する「おひさま食堂」について、原貴代子代表理事がスライドを使って報告しました。おひさま食堂は2017年からスタート。だれでも来られる居場所づくりを掲げ、地域のお年寄りとも連携して活動しています。「おばあちゃんたちは、よかよかと言って、若いお母さんの悩みを聞いてくれる」と、お年寄りの知恵も借りながら、ほっとする場所の提供を目指してきました。お年寄りにとってもボランティアというより日常生活の一部になっていて、「自分たちの方が元気をもらっている」と、交流の拠点になっている様子を熱く語りました。
粕屋町の「かすや地域食堂」は2013年に子育てに悩む母親同士の集いの場として発足しました。2017年からは「おしごと体験会」も開催。コロナ禍で食堂が出来なくなると、困窮家庭への食料品配達も始めました。「配達すると家庭環境もよくわかり、相談を受けるなど活動が深まってきた」と話しました。久山町の「久山おにぎり食堂」は毎月1回開催し、40~50人が利用しています。資金等どうにかやりくりしている状況で、「野菜ばかりのメニューになってしまうことも」と話しました。
運営資金の安定的な確保はどの団体にも共通の悩みでした。「食材を保管したり、仕分けしたりする場所がない」(篠栗町・こども食堂タタラバ)。「ボランティアが高齢化していて、若い人の取り込みが課題」(志免町・いこうや)。「公民館など人が集まる場所の確保が難しい」(宇美町・みんなの食堂うみ手伝い隊)などと、それぞれに苦労も少なくないようでした。各団体で運営に携わる人数については5人から30人という回答でした。須恵町の「須恵第3小学校区ふれあいレインボー」では、地域のきずなづくりの一環として今年度からこども食堂を開催。料理に関して保健所との調整に苦労するとの報告もあり、「こども食堂の位置づけが自治体によってまちまちな部分があるのでは」と話しました。
出席した県こども未来課は「こどもの居場所づくりを重点に取り組んでおり、これからも持続的・継続的に支援していきたい」と説明しました。各町や社協からも「貧困問題だけでなく、地域をつなぎ支え合う観点から支援していきたい」と前向きな発言が相次ぎました。県こども食堂ネットワークの副島事務局長は「行政とも一緒に話すことができて、課題も見つかってよかったと思います」と締めくくりました。